ファティマの預言: 聖母の明かした三つの秘密(2)

ファティマの聖母は6回出現されており、ルシアに伝えられた聖母のメッセージは、カトリック教会では3つの秘密と呼ばれるものが含まれていました。アンドリュー・アポストリ司祭は、『今日のファティマ』のなかで、7月(第一の秘密)と10月の出現で明かされた秘密は、特に重要なものであると指摘しています。(Fatima for Today,p53)

第一の秘密-地獄の幻影(地獄が実在すること)

この秘密が3人の子供たちに明かされたとき、彼らは地獄の幻影を見ました。

「聖母は私たちに、人間の魂が苦悩と絶望の中で叫んでいる火の海の幻影を見せました。透明な人の形をした魂は、奇怪で見たこともないような動物の姿をした醜悪な悪魔たちとともに地底に永遠に閉じ込められていたのです。」 ( Wikiwandより要約)

聖書は、地獄が実在することを教えています。そして、神に背いた者が悔い改めない場合に行く場所である、地獄を描写した箇所がいくつかあります。 

例えば、『ヨハネの黙示録』には、地獄の炎に投げ込まれる死者の魂について書かれています。

「死も陰府も火の池に投げ込まれた。この火の池が第二の死である。 その名が命の書に記されていない者は、火の池に投げ込まれた。」(黙示録20:14-15)。

マルコ9:47-48で、私たちの主は次のように言っています。

地獄では蛆が尽きることも、火が消えることもない。

この場合、主はイザヤ書66章24節を引用していますが、同じ記述がありながら、それが地獄を指しているとは明言していません。つまり、マルコ福音書の一節は、イザヤ書で暗示されているだけのことを明確にしているのです。ユディト記(続)16:17とシラ書7:17(続)も、悪人の刑罰を 「火と蛆(うじ)」と表現しています。

さらに私たちの主は、永遠に地獄に閉じ込められることを警告しています。

「それから、王は左側にいる人たちにも言う。『呪われた者ども、わたしから離れ去り、悪魔とその手下のために用意してある永遠の火に入れ』 こうして、この者どもは永遠の罰を受け、正しい人たちは永遠の命にあずかるのである。」(マタイ25:41、46)。

子供たち、特にフランシスコとジャシンタは、この地獄の幻を見た後、罪人の救いのために度々苦行をするようになりました。ジャシンタは、流行を追いかけようとする人たちに、「人は永遠の意味を理解すれば、自分の生き方を変えるために何でもする。永遠の主に従う教会は、流行とは無縁だ。」と訴えています。

同様の地獄の幻影を見た聖ファウスティナ

ポーランドの幻視者である聖ファウスティナ(1905-1938)も、、神により、地獄が実在することを証明するため地獄を見せられました。彼女が描いた恐ろしい幻影は、ファティマの子供たちが見た幻影と似ています。彼女は、幻視で見た地獄の炎を、恐ろしい苦しみをもたらす永遠の霊的な炎と表現しています。さらに、罪人が悪魔と共に、暗闇と、ひどい窒息臭の中で、永遠の苦しみに閉じ込められているのを見たと語っています。

恐らく多くの人々は、地獄に落ちるのはひどい罪を犯した人々だけだ、と考えているのではないでしょうか。実は、それほど単純ではありません。聖ファウスティナは地獄に落ちた多くの魂は、生前地獄を信じていなかった人々であった、と伝えています。地獄の存在を信じていなければ、神に対して罪を犯し、悔い改めることなく死んでしまう危険性が高くなるからです。

「正しくない者が神の国を受け継げないことを、知らないのですか。思い違いをしてはいけない。みだらな者、偶像を礼拝する者、姦通する者、男娼、男色をする者、泥棒、強欲な者、酒におぼれる者、人を悪く言う者、人の物を奪う者は、決して神の国を受け継ぐことができません。」(Ⅰコリント6:9-10)

神の国を受け継ぐことができない、つまり罪を犯したことに十分に気づかない、気づいても何もしない人は地獄へと落ちる確率が大きくなります。私は告解に行くかどうか悩むときがありますが、告解後、実は罪に鈍感になっていただけであった、と気づくことが度々ありました。

ファティマの聖母が強調されたように、悔い改め、神に立ち返り、許しを請い、神と和解すること、それこそが魂を救いに導きます。この事実と、地獄の現実に対する聖母の重大な警告は、真剣に受け止める必要があります。なぜなら、私たち人間は罪を犯し続ける生き物であり、地獄は、罪を犯したまま死んでいく者の行き着く先だからです。

第二の秘密 – 現代社会を形成する最も重要な出来事と動きについて

『第二の秘密』は2つのパートに分かれています。

聖母は、魂を救い、平和をもたらすために、無原罪の御心への奉献を確立することを望んでおられます。聖母は、戦争、飢饉、教会への迫害を防ぐために、ロシアがが無原罪の御心に奉献し、五つの第一土曜日に献身するよう求めています。その願いが聞き入れられるならば、ロシアは回心し、平和が与えられるでしょう。 (Wikiwandより要約)

第1部 

願い:無原罪の聖母マリアへの奉献と祈り。
預言: 第一次世界大戦の終結。
警告と予言: もし罪人が十分にしないなら、教皇ピオ11世の時代から再び世界大戦が起こる。

第2部:ロシア語の奉献と無原罪のマリアへの献身

願い:第一土曜日のファティマの聖母への献身。
予言: 多くの場所で飢饉が起こる。
警告と預言: もし教皇が全司教団と協力し、ロシアを無原罪のマリアの御心に奉献するなら、世界に平和が訪れる。そうでなければ、ロシアの誤りは世界中に広がり、カトリック教会への迫害につながる。

第二の秘密の第1部に関する聖母の預言は、第二次世界大戦に関する預言であったため、すでに成就しています。しかし、第2部の預言は、さらなる戦争を預言しているようで、それはこれから起こる未来である可能性が考えられます。

7月13日: 封印された第三の秘密

シスター・ルシアは聖母マリアから、時が来るまで第3の秘密を誰にも明かさないように、と警告を受けていました。そのためシルバ司教から、第三の秘密を文書で残すように言われたルシアは、どうすれば良いのか悩んでいました。

1944年1月、聖母マリアがルシアの前に現れます。

聖母マリアからルシアは「秘密の意味を理解したまま書き留めてはいけません。ただ、あなたが見たとおりに秘密を記述しなさい 。」と伝えられました。
ルシアは聖母の言葉に従い、第三の秘密を書き記し、その封書をシルバ司教に渡しました。その時、ルシアはシルバ司教に、ルシアの死後、もしくは遅くとも1960年には第三の秘密を開示するようにと頼みました。

1957年、シルバ司教は封印されたままの手紙をローマに届けます。しかし、1960年になっても、第3の秘密は開示されませんでした。

2000年、バチカンはついに第三の秘密を公開しました。2000年まで公開されなかったのは、ローマ教皇の暗殺を予言する内容だったからだと言われています。

第三の秘密:殺された司教

Wooden cross on the top of the mountain on sunset

第三の秘密における幻視は次のようなものでした。

聖母の左側、やや上方に、左手に炎の剣を持った天使が飛び、大声で「懺悔、懺悔、懺悔!」と叫んでいる。

幻の中では、数人の司教、司祭、修道士、修道女が、白衣を着た司教(おそらく教皇と思われる)とともに、頂上に粗末な十字架のある険しい山道を登っている。白い服を着た司教は、苦悩と悲しみの中で死者のために祈りながら、廃墟と化した大きな町を震える足取りで通り過ぎていく

山の頂上に到着した司教は、十字架の前にひざまずいて祈ったが、数人の兵士に殺されてしまった。司教、司祭、修道士、修道女、平信徒など、さまざまな身分の者が次々と殺され、そこで息を引き取った。十字架の両腕の下には、それぞれ水晶のアスペルソリウムを手にした2人の天使がいて、殉教者の血を集め、神への道を歩む魂に水をかけていたWikiwandより要約)

この幻の中の司教(教皇)は、1981年の5月13日(ファティマの聖母の祝日)に暗殺されそうになったヨハネ・パウロ2世を表していると考える人もいるようです。一方、教皇聖ヨハネ・パウロ二世は暗殺未遂から生還したのに対し、この幻の司教は生還しませんでした。『第三の秘密』に描かれた司教は特定の個人ではなく、象徴的な人物である可能性も高そうです。

多くの人が『第三の秘密』には公開されていない部分があると考えています。また、第一の秘密と第二の秘密には、それぞれ聖母の幻視と言葉による解説が含まれていますが、第三の秘密(バチカンによって公表されたもの)には、幻視のみが含まれており、解説はありません。

第一の秘密と第二の秘密のヴィジョンについて解説した後、なぜ聖母はこの難解な第三のヴィジョンについて解説をしなかったのでしょうか。そして、もし第三の秘密が単なる幻視(おそらく教皇の暗殺を示すもの)であったなら、なぜ1960年以降も秘密にされたでしょうか。

実はシスター・ルシアが『第三の秘密』を、2通の別々の文書に記録したという証拠もあるのです。 (さらに詳しくお知りになりたい方は、こちらの本をご覧ください。 Chapter 13 of the book The Devil’s Final Battle, by Fr. Paul Kramer.) 第三の秘密については、知れば知るほど、バチカンがその全貌を明らかにしたのかどうかが疑わしくなってくるのです。

10月13日:太陽の奇跡

歴史上初めて、預言者、もしくは先見者は、受け取ったメッセージが神からのものであることを証明するために、公共の奇跡を目撃するために、特定の場所と時間にすべての人々に集まるように求めていた。 (Fatima: The Great Sign by Francis Johnston) 。

10月13日、信者も信者でない人々も聖母の奇跡を目撃するために、ファティマのコバ・デ・イリアに集まりました。おおよそ4万人から8万人くらいが集まったと言われています。(正確な数は不明)この日は、前日から降り続いた雨で人々は雨に濡れ、地面はぬかるみ、どろどろの状態でした。

聖母マリアの出現を待ち、出現した小さな木の前で祈っていたルシアは、ふと自分の中に湧き上がる衝動を感じ、集まった人々にロザリオを祈るように告げました。人々がロザリオを祈り始めると、聖母マリアが3人の子どもたちに現れました。ルシアが聖母に何をしてほしいか尋ねると、聖母は「私はロザリオの聖母です。どうかここに教会を建ててください。毎日ロザリオを祈りなさい。やがて戦争が終わり、兵士たちが帰ってきます。」と答えました。

さらに、集まった人たちの癒しについて尋ねたルシアに、「癒される人もいれば、癒されない人もいるでしょう。人々は悔い改め、生き方を変える必要があります。」と伝えました。聖母は、また、これ以上主なる神を怒らさないことを警告しました。

これらのメッセージを伝えた後、聖母マリアは両手を開くと太陽の光を反射させ、天に昇っていきました。ルシアは、「太陽を見て!」と群衆に叫びました。その瞬間人々は、雲が開き、雨が止み、太陽が奇跡的に回転し、ジグザグに動き、急降下してくるのが見えたのです(Fatima for Today, p. 114) 。さらに不思議なことに、目撃者は、太陽が明るく輝いていたにもかかわらず、それを見ていた人々の目を痛めることはなかったと証言しています。 (Fatima for Today, p. 113)

太陽の奇跡を証言した自然科学教授

コインブラ大学の自然科学教授であるゴンザロ・デ・アルメイダ・ギャレット博士も、太陽の奇跡を目撃するためにそこにいました。この奇跡では、色とりどりの光が、ある人には見えたが、ある人には見えませんでした。ギャレット博士は、奇跡が起こったとき、周囲がアメジスト色に染まっていたことを証言しています。

太陽ははっきりと強く輝き、まるで光る円盤のようで、その縁はきれいに切れていて、目を痛めることはなかった。一方、太陽を鈍い銀色の円盤に例えることには反対である。太陽現象で大気がアメジスト色に染まり、空も大気も、周りのものもアメジスト色に染まっていた。網膜の異常かと心配したが、その場合、紫色は見えないはずである(Aleteiaより要約)。

しかし、3人の子供たちが見たのは、踊る太陽ではなく、聖母マリア、聖ヨセフ、ロザリオの秘儀、カルメル山の聖母の幻影でした。すべての奇跡が終わった後、人々の服はもちろん、地面までもが完全に乾いていたのです。

私は、この太陽の奇跡は、神の奇跡を体験しなければ回らない人々のために行われたのだと信じています。

第3の秘密はいつ成就するのか?

ニコラス・グルーナー神父(1942-2015)は、「第3の秘密は完全には明らかにされていない。」と考える人物の一人でした。

Fr. Gruner on the Message of Fatima/ Your Last Chance Conference/ May 2012

1931年、私たちの主がシスター・ルシアに現れました。ロシアの回心が成されなければ、世界に、大きな災いが降りかかると再び警告されたのです。

このビデオでは、グルナー司祭が聖マルガリタ・マリア・アラコクの預言を用い、ロシアの回心が成されない場合、神の裁きがどのようなタイミングで行われる可能性があるかを説明しています。

1689年6月17日、聖母マリアはマルガリタに現れました。マルガリタその後、聖母がフランス国王に「どうか、フランス国をイエスの聖心に奉献するよう伝えてください。」と頼んだことを伝えました。しかし、三代にわたるフランス国王は、聖母マリアの言葉を蔑ろにし続けました。そして、予言からちょうど100年後の1789年6月17日、フランス国王は第三身分の人々によって王権を奪われ、それから4年も経たないうちに、ギロチンで処刑されたのです。

グルナー神父は、ファティマの要請の「タイムリミット」も1931年から数えて100年ではないかとの懸念を示しています。

ベネディクト16世: 無原罪のマリアの御心の勝利のために祈る

2010年5月13日、福者ジャシンタとフランシスコ・マルトの列福10周年に際して(そしてファティマ出現100周年を7年後に控え)、教皇ベネディクト16世はジャシンタ、フランシスコ、そしてファティマの聖母の秘密に関する説教を行いました。この説教で教皇は、ファティマの預言的使命が、完了したと考えるのは誤りであることを明らかにしています。

また、ジャシンタとフランシスコの神への燃えるような愛に関する言葉を紹介しました。そして、ルカ11章28節にある主の言葉「むしろ、幸いなのは神の言葉を聞き、それを守る人である。」を引用し、信仰の重要性を強調しています。そして信仰は私たちを裏切らない、希望の地平を開くものであり、恐れのない人生の土台であると付け加えています。さらに、ファティマの聖母への奉献が世界中に広がり、無原罪のマリアの御心が勝利するという予言の成就が早まることを希望している、と願っています。 (EWTN, Homily, Mass in Fatima 13 May 2010)

ベネディクト16世が、無原罪のマリアの勝利という預言のすぐの成就を祈り、すでに19年が経ちますが、その明るい兆しはまだ見えていません。今日の世界の状況を考えると、第三次世界大戦の惨禍が、先に実現する可能性の方が高いようです。一方、ルカ21章9節には、「戦争とか暴動のことを聞いても、おびえてはならない。こういうことがまず起こるに決まっているが、世の終わりはすぐには来ないからである。」とあります。希望は残っているようです。

ファティマの聖母の願いどおりに行われなかった奉献

聖母が預言した戦争を回避するための二つの条件は、第一に、人々の聖母に対する冒涜と侮辱に対する贖罪としての五大第一土曜日の献身、第二に、教皇のみが行うことのできるロシアの奉献です。

聖母マリアの出現から100年以上、歴代の教皇によって、ロシアの回心と奉献のための祈りが何度も捧げられてきました。残念ながら、ロシア奉献の試みは、いずれも聖母の要求通りに実行されたことはありません。

2022年3月21日付の記事で、ライフサイト・ニュースが解説しているとおりだといえます。(以下抜粋)

世界の司教たちは、奉献に参加するよう招かれたが、命じられたわけではない。
また、すべての信者が参加できる「第一土曜日5回」の奉献が、まだ十分に普及・浸透していないとも言えるかもしれない。いずれにせよ、ファティマの預言は、ロシアの聖別が実行されなければ、多くの国が地上から消滅すると告げているのである。

無原罪のマリア様の勝利の予言が一日も早く成就し、世界が平和になることを心から祈ります。